ユニクロ『LifeWear』ニット篇・ロケーションを活かす

都会にある美しい庭園で、人々が思い思いに休日を過ごす様子が印象的な今回の作品。『LifeWear』グローバルブランディングキャンペーンのCM第4弾ニット篇のインタビューをお届けします。


「綺麗な庭園だったので、ここを活かそうということで大きな装飾は必要なかった。高さや色を加工したベンチを幾つか置いたのと、0:13あたりと0:25~画面上部に内枝(画面に映り込むように置く枝)を追加したくらいかな。内枝がないと背景が抜けすぎちゃうので。あとは冒頭に登場するサングラスの男性の足元に飛び石を置いたね。」

slack_for_ios_upload-18飛び石は大量に発注していましたが、当初は他にも置く予定だったんですか?

「元々はロケハンの時点で監督から飛び石or歩道を設置したいという要望があった。それに対してKK Barrettが『最終的に人の動きは四方八方に広がる予定。歩道を歩いている人とそうでない人がいたら違和感があるし、画作りに弊害が出る』と反対。監督も納得して一旦ナシになったんだけど、ロケ前日になってエージェンシーからやっぱり飛び石が欲しいと。植木屋さんに急遽トラック2台分くらいを集めてもらった。でも結局は現場に歩道として置いてみたら、やっぱり違和感があるね、と。実際に見てみないと納得できないことってあるんだよね。」

今回は小道具も急な調達が増えていましたね。

「大きな装飾はしなかった分、小道具にはこだわった。急なプラン変更などもあり、追加で準備したものも多かったね。二階堂ふみさんに持ってもらった小道具の本のブックカバーが、色味的に画の中で浮いていたので当日プリンター(※)で制作したり。直前にエキストラさんの人数を大幅に増やすことになったので、ピクニック用の小道具(お弁当箱、遊び道具など)を追加購入したり。
そういえば、小道具関連ではこんな事があった。デザイナーのKK Barrettからピクニックで座る時に敷く“ブランケット”を用意してくれと言われたので、アシスタントに“レジャーシート”と訳して伝えたのね。用意されたビニールのレジャーシートを見たKKが『布のシートはないのか?』と聞いてきた。なんと、アメリカのピクニックで敷くものと言ったら布なんだよね。だから“ブランケット”って言っていたんだなぁと。」
※仕事用のバンに積んであるプリンター。現場で急遽ポスターなどを制作することもあり使用頻度が高い。今井はA3対応のインクジェット機を使用。

なるほど。そう言われてみれば、確かにアメリカ映画やドラマでは大きい布を敷いていますね!でも日本でレジャーシートと言えばビニールのものですよね。お茶をこぼしてもスグに拭けるし。

「そう!でもKKは『ビニールだと水を吸わないじゃないか』と。吸わせないためのビニールだと思うんだけど、これは完全に文化とか感覚の差だよね。このCMは日本ロケで日本が舞台となっているから、結局用意したレジャーシートを使ったけれど。同じようなエピソードがもう1つ。遊び道具として用意したバドミントンを見てKKが一言、『ネットないの?』」

ネット!本気のバドミントン(笑)

「その後アメリカ人スタッフが集まって『ネットがなくてもバドミントンができるのか?』と真面目に議論(笑)。日本ではピクニックの定番で、あくまで遊びだから!と説明したけど、不思議だったみたい。」

ピクニックひとつでも、こうした違いがあるのは面白いですね。

「アメリカではピクニックと言っても買ってきたコーヒーとサンドイッチを公園で食べるくらい。撮影時の食事も彼らはケータリングかレストランだし、冷めても美味しいお弁当というものに馴染みがない。レジャーシートにしろバドミントンにしろ、彼らにとってもカルチャーショックだったろうね。外国人スタッフとの仕事は、こうした発見があるのも面白いところだよ。」kk_barrett

今回の作品はキャンペーンCM6本のなかで最後のロケでしたが、最終日ならではの雰囲気はありましたか。

「直前のプラン変更などはあったけど当日の急なトラブルもなく、ロケ最終日ということもあって美術部は比較的おだやかに作業が進められたなと。KKなんて用意したベンチで昼寝してたし(笑)。このニット篇は穏やかな休日を描いたものだから、作り手側のリラックスした空気感も作品に少し表れてると良いな。」


今井に美術以外の注目ポイントを聞いたところ、「0:23~でベンチに座っているカップルの、赤いニットを着た男性の演技!」とのこと。彼女の肩に手を回そうとするも、彼女が振り返ったため手を引っ込め頭を掻く素振りをするという、ちょっとときめくようなシーンです。監督が熱心に演技指導をしたそうで、とても良い演技にスタッフ間で盛り上がったとか。こうした細かいシーンにもぜひ注目してご覧ください。
次回はヒートテック篇についてのお話をお送りします。お楽しみに!

↓こちらの記事もチェック!
ユニクロ『LifeWear』グローバルブランディングキャンペーン/ブランド篇・ジーンズ篇
ユニクロ『LifeWear』ジョガー篇・空間の動きをデザインする


あわせて読みたい