日本とハリウッドで感じた、一番の違い

日本とLAで仕事をして、最も感じた違いは“スピード感”です。LAの方が、撮影までの進行が圧倒的に速い。考えられる理由としては3つあると思っています。

拘束時間への意識

ギャラの計算方法が日本ではプロジェクト単位ですが、ハリウッドでは1日単位です。監督やカメラマンなどスタッフのギャラが高いため、拘束時間を極力少なくしようという意識が強いですし、スタッフ側も当初に決めた日数以外は対応しません。そのため、短時間で進行しようという意識が強いです。こうして日本とハリウッドでは、“返事の速さ”に違いが生まれます。

日本では1、2日後にデザインを提出し、さらにその翌日くらいにクライアントから返事が来るという流れがほとんど。しかしLAでは、午前中にロケハン&打ち合わせをしたら、夕方5時には修正を加えた最終デザインをクライアントに提出するのが基本です。この最終デザインはラフスケッチではなく、3Dでモデリングから始めライティング、レンダリングをして、更にPhotoshopでプレゼンできるクオリティのもの。これに対し、ディレクターやクライアントからすぐに返事があり、当日の夕方6時にはデザインが固まるのです。提出→返事→修正→提出→返事……がとても速く行われるため、こちらの記事でも書いたように3DCGでの作業でないと対応しきれなくなるのですね。

日本では監督やカメラマンが別件に携わっているために打ち合わせの時間すらなかなか決まらない……というのは、よくある話。しかしLAでは、各スタッフが同時に複数のプロジェクトに関わることは基本的に無いため、各自が1つの案件に100%注力することができます。またクライアントや代理店も夕方6時には仕事を終えたいと思っているため、一つの作品に携わる時間をなるべく短くしようと努めます。そのため、いつでも電話は繋がる状態にあり、返事も速く、撮影までの準備が早く終わるのです。

整備されたインフラ

ハリウッドでは、CNCルータや、大量の大判出力、3Dプリント、レーザーカット、ウォータージェット、パウダーコートなどのハード設備が車で15分以内の場所にそろっています。朝にデータを入稿すれば、たいていは当日中に出来上がるというのが当たり前。これが東京では、CNCの機械自体が都内に数台しかなく、ともすれば他県に外注しなければならず、さらに仕上がりは数日後と言われ、間に合わないから別の方法を探すしかない!ということも多々ありました。

電話会議の普及

日本で打ち合わせと言えば、直接会って顔を合わせて…ということが多いですね。少なくとも映像業界はそうで、スカイプ会議や電話会議は根付いていません。監督に何か伝えなければいけないことがあっても、電話をするのではなく次の打ち合わせの機会に伝えようとすることが多い。さらにクライアントに対してはこの傾向が顕著で、「クライアントへの確認事項はまとめてね。電話ばかりするのは失礼だから」という話をよく耳にします。

LAでは、Phone Conferenceといってプロダクションスタッフが時間を決めて電話で打ち合わせする(何人も同時に会話できるシステム)機会が多く、また、クライアントへの質問や確認もメール+電話などで行うことが多々ありました。もちろんケースバイケースで、会って打ち合わせすることもありますが。


なぜスピード感の違いが生まれるのか、以上が僕の考える理由です。全ての案件がこうだとも言えませんが、僕自身はこの違いを実感するシーンは多々ありました。ただし、どちらの方が良いとか優れているとかいうものではなく、それぞれに一長一短があり、各自の好みによるものだと思います。


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