アートディレクションのデジタル化と、その限界

デジタル化のメリットとデメリット

LAに来てからというもの、CGを使う機会が格段に増えました。手書きの味が好きというデザイナーが大多数ではあるのですが、いざクライアントに提出するときには3DCGになります。

それは、仕事のスピード感に関係があります。クライアントは3Dに慣れきっていて、デザインの修正はすぐ出来るものだと思っているため、細かい指摘や別アングルを求めてきます。こうなると手書きではとても対応しきれません。よって、3DCGで作業しようということになるのです。

図面も手書きではなくPCで引くのが主流です。理由は簡単、メールで送れるから。必要があれば、そのままCNCやウォータージェット、レーザーカットに直接送ることもでき、速さと利便性を考えると効率的なのです。

このように、日本人がまだ手作業で対応している部分をハリウッドでは機械化していることが多い。それは規格サイズや物理的な制限にとらわれず、自由なデザインを可能にもします。そして、こうした手法により料金も抑えられているというメリットも。

しかし3DCGを使うことでのデメリットもあります。提出する美しいCGレンダリングは、あくまでラフスケッチ。しかしクライアントはそれを最終的なルックだと思ってしまい、細かく修正を入れてくるのです。

必要なPCスキル

そこで登場するのがSketchUP。SketchUpのスタイルで手書き風、ラフな雰囲気に描き、プレゼン用資料を作ります。これなら、「この資料はあくまでもラフスケッチですよ。最終形ではありません。」というニュアンスが伝えられる。そのためハリウッドのプロダクションはSketchUPに頼りきっています。

g087LAでは誰に会ってもまず、「AutoCAD使える?」と聞かれます。僕もLAに来てからAutoCAD、ZBrush、Rhinoを導入。これらのソフトを使うのが初めてでも、同様の作業経験(アナログでも別のソフトでも)があれば、まもなく使いこなせるようになります。

 

 

それでもやっぱり、アナログが好き

僕が話す多くのデザイナーは、「本当は手書きがいいんだよ。美しい3DCGを作っても、現場ではそうはならない。結局はウソなんだよ。しかもCGでは自分が望んでいる空気感、質感、そこから出てくるイメージが表現できない」と言います。

これには僕も同感。CGが美しいのは確かなことで、きれいな映像を作ろうとしている場合は、それで良い。しかし汚しがかかったり、もっと空気に質量のある感じを表現するにはCGだと時間がかかる上、人間の手で描く絵の方が格段に説得力が出るのです。


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